耐震施工例

当社では、住宅木造在来工法の耐震補強工事をしております。主な補強工事の内容としては、①壁の強さ倍率を高くする、 壁補強。②柱のホゾ抜けを防止する、外付けのホールダウン金物取付。③基礎のひび割れを補修する、エポキシ樹脂注入があります。その他にも補強方法には色々とありますが、それは現場を確認した上で検討していきます。
今回は特に耐震性に強く関係してくる、①壁補強に関して工程ごとに解説したいと思います。

第一工程:解体
既存の外壁を補強する箇所のみサンダー(セメント等を切る機械)にて切断していきます。
この時、注意する点は切断ラインをきちんと墨出しする(仕上げ段階にて多少影響が出てくるので)、壁内に電気配線や水道配管やガス配管が通っていないか(通っていても切る深さを間違えなければ問題ありません)、埃が近隣の住宅に迷惑をかけていないか(弊社では掃除機を使用し埃を最小限におさえています)等があります。ある程度切断できれば、あとはバールやハンマーにてバラしていきます。この時も室内側への影響を考慮しながら行います(壁掛けの時計などがある場合は予め取っておいてもらいます)。

第二工程:後付ホールダウン金物取付
現行の建築基準法では、壁の強さ倍率の高い箇所にはホールダウン金物(以下 HD)の設置が義務づけられています。しかし根本的に補強箇所にはHDが付いていませんので後から施工可能なHDにて取付します。内容としては土台と基礎にドリルにて穿孔しそこにエポキシ系の叩き込み用の接着剤を挿入します。次に柱に取り付けるコーチスクリュー(大きめのビス)の下穴をあけ防腐防蟻剤を注入します。最後に基礎に叩き込んだ鉄筋と柱に付けたHDをナットにて接続します。

第三工程:補強縦桟・横桟・三角金物取付
耐震ボードを貼る為の下地として、30mm(厚み)×50mm 以上(幅)の桟木と角補強の為に三角金物を取付します。ここでの注意は、桟木に取り付けるビスの下穴をきちんとあけておく、耐震ボードを取付を考えて位置を決定する桟木の出幅をきちんとあわせる等があります。今回は外側からの補強にて説明させて頂いておりますが、室内側からの補強も可能です。その時に、真壁(柱が見えている壁)の場合には特に仕上げの納まりについてきちんと考えて取り付けしないといけません。

第四工程:耐震ボード取付
耐震ボードを柱の面、横架材(梁・土台)の面及び先ほど取付した下地に専用のビスで貼り付けます。この時注意する点は、ビスの下穴をあけておく、ビス間は100mm以内に打つ等があります。今見えている写真の上部は耐震ボードの上からベニアを貼り付けている状況です(既存はバラ板でしたが、耐震ボードの厚みだけ出てくるため、4mmベニアで対応しております)。

第五工程:アスファルトフェルト・メタルラス取付
下地ベニアの上に防水シート(アスファルトフェルト)を貼り付け、その上からメタルラス(モルタルを塗る為の金網)を貼り付けます。この時の注意点は既存の壁との取合いの防水処理をきちんとする(コーキング等にて)、メタルラスがきちんととめてあるか(特に端のほうを注意する)等があります。

第六工程:左官モルタル塗り
外壁のモルタル塗りの場合、下塗りと上塗りにて仕上げる為、基本的に工事日数は2日間必要になります。ここで注意する点は、ジョイント部分の継ぎ目が出ないようにする等があります。

第七工程:塗装仕上げ
最後に既存の模様に合わせて下地を施工し、既存の色に合わせ調色し施工します。ここで注意する点は、養成する(すべての工程に共通ですが特に)左官の仕上げに隙間やひび割れ等がある場合に防水処理(コーキング)をする等があります。
ただし、できる限り現状と同じ仕様に仕上げたいと考えておりすが、やはり施工前と完全に同じ状態にはなりませんのでご了承下さい。